2004年10月2日に開始された
光の音符ムンバイ光の教室」プロジェクトについて
〜改めて事業の趣旨・現在の状況〜

2004年11月27日(2006年3月「年表」を加筆)

1.事業の趣旨


 光の音符は、過去10年にわたり音楽を通して交流を続けてきた岡山県の国立ハンセン病療養所「邑久光明園」入所者の人々からの協力により、今年10月2日、インド・ムンバイ市のハンセン病専門病院(AcworthHospital)内に於いて、就学が困難な同病患者の子ども達、また周辺のストリートチルドレンのための識字教育事業を開始しました。

この事業は、すでに同病院内で運営され、現在存続が危ぶまれている「モンスーンと陽光(ひかり)の子ども達」という名の教室を引き継ぐ形で始められるものであり、ムンバイ市で28年間ハンセン病医療に携わってきたNGOである「ボンベイ・レプロシー・プロジェクト」〈BLP〉をカウンターパート(協働者)とし、現責任者でもあるシスターとも引き続き協力し合いながら、この教室を、将来、より規模・内容の充実した教育センター「光の教室」へと発展させる目的で行われるものです。

「光の音符ムンバイ『光の教室』プロジェクト」は、日本のハンセン病回復者・市民からの募金と、日本において行われるチャリティー公演等の収益を今後インドに送り続ける役を担い、当事業の資金面での支援にあたります。

2.協力者について

日本円にして年間約60万円の教室運営資金を、安定してインドに送り続けるため、現在2つの団体が、当事業の趣旨・目的を理解し、以下のご協力を下さっています。

○全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)
年間運営資金のうちの半額30万円を3年間提供
(2004年10月27日第60回臨時支部長会議に於いて承認)

○京都仏教会
京都の主要寺院に当事業への募金箱を3年間設置(2004年10月25日金閣寺、銀閣寺、等に設置)
3.これまでの経緯と現在の状況
2003年4月 光の音符内に「インドプロジェクト実行委員会」が発足。識字教育プロジェケトへの取り組みを開始し、アピールのためのオペレッタ(音楽劇)作曲と、同作品上演準備を開始する。
2003年10月8日 邑久光明園入所者・職員より同プロジェクト開始黄金として約55万円が寄付される。 同館に於いてオペレッタ(日本語版)を上演。
2004年2月13日 国際交流基金「アジア草の根交流助成事業」として、インド・ムンバイ市でBLPとともにオペレッ タ(英語版)を上演。当事業へのインド側からの協力を呼びかける。
2004年3月〜9月 BLPと事業計画案・予算を作成
2004年9月22日〜29日 日本よリプロジェクトメンバー2名がインドを訪ね、事業対象者となる子ども達と対面。BLPと事業詳細に関して話し合い、決定する。
半期(2004年10月〜2005年3月)分、3,000ドルをBLPに託す。
2004年10月2日 事業開始(当事業としての教室を開校)
市民の理解を得るため京都市内において以下のチャリティー公演を行う
2004年10月30日 「京(みやこ)の狂言会」〜若き狂言師和泉元弥を迎えて〜 〈於:京都ライトハウス〉
2004年11月13日 「チャリティーオルガンコンサート」(出演:中山幾美子)く於:日本基督教団京都教会〉
2004年11月27日 「インドなじかん」(講演:中島岳志、オペレッタ上演) 〈於:同志社女子大学頌美館〉
2005年2月26日〜3月5日 日本より、プロジェクトメンバー2名がインドを訪ね、モンスーン教室(光の教室)の事業進行状況を視察。BLPと話し合いを行う。半期分の資金を手渡す。
2005年7月29日 インドプロジェクトへの理解を求めるため、熊本県にあるハンセン病療養所、菊地恵楓園でコンサート
2005年9月17日〜25日 日本よりプロジェクトメンバー6名が渡印。モンスーン教室の視察及び、インドにおける光の教室プロジェクトの理解を得るため、ボーパールでコンサートなど開催。半期分の資金を手渡す。
2005年10月22日 大山崎第二小学校にて、インドプロジェクトのオペレッタ「神様たちの園遊会」上演
2006年2月13日 京都ライトハウスにてチャリティコンサート「音で観る歌舞伎」
2006年3月19日〜26日 日本より、プロジェクトメンバー1名が渡印。モンスーン教室を訪ね、BLP及び責任者であるシスターなどと会談。半期分の資金を手渡す。
 現在の状況について
教室の整備が近々行われる予定であり、日本からの資金によって、子ども達におもちゃや衣服、本などが贈られ、また健康診断で問題があった子どもにビタミン剤が投与されたという報告がありました。(BLPよりの報告書)
4.今後の展望
 「光の音符ムンバイ『光の教室』プロジェクト」は、日本のハンセン病回復者と社会の人々をつなぎ、同時にインドと日本のハンセン病患者・回復者をもつないで、当事業が両国の市民レベルの交流に基づいたインドの子ども達への教育支援事業となることを目指します。私たちは、光の音符のこれまでの日本での活動を反映し、インドに於いても音楽・絵画等、芸術を取り入れた教育の試みがなされるよう、インドの人々と協力し合っていきたいと思っています。

引き続き多くの皆きまのご理解とご支援を心からお願いいたします。 


BLP所長Dr.Ganapatiよりの感謝のお手紙(2004年9月27日)

私たちは、私たちの識字プロジェクトに協働して下さる「ムンバイ『光の教室』プロジェクト」に深く感謝いたします。

西村ゆり、花谷めぐむの両氏は、2004年9月24日、私たちの教室を訪問し、子ども達に対して非正規教育が行われている状況を視察されましたが、ご覧になった通り、ほとんどの子ども達は近くのスラム及び路上から来ています。

両氏はまた、これら子ども達の昼食を用意している台所の状態を見る機会も得られ、この識字教室を運営しているシスター・セラフィンとも交流されました。シスターと私たちは、予算で説明したように、設備面でのケアを含むこの識字プロジェクトの運営に協力し合っています。私たちは、この教室に、周辺地域から新たに8〜10人のハンセン病患者の子ども連を入学させるつもりです。

私たちは、Acworthハンセン病病院の院長であるDr.Chimalgiと話をして、この教室をより広い部屋に移し、(※)年代別にクラスを分け、教育内容を充実させるつもりです。また、昼食を用意している台所の設備も改善するよう努力します。
(※現在3歳〜16歳の子どもが一緒に授業を受けている状況)

ハンセン病患者に対するあなた方の心遣い及び、教育を通して恵まれない子ども遠の将来を拓いていこうというあなた方の熱意に深く感謝いたします。私たちは、将来も継続して、この識字プロジェクトへの日本からの支援を望んでいます。

インドの恵まれない子ども達の教育のため、日本で資金を調達して下さっていることに、重ねて感謝いたします。
両氏よりいただいた半期(2004年10月〜2005年3月)分の額面に対する受領書を発行しましたのでお受け取り下さい。

BLPよりの現状報告(Dr.VVPai/2004年11月10日)


●「教室」の当面の運営について
私たちBLPは、Acworth病院院長Dr.ChimaIgiに、以下のことについて引き続き働きかけています。
  (a)教室の空間をさらに広げることについて
  (b)キッチンに電気を引いてもらう可能性について
  教室の黒板については、SrSeraphineにお願いしたので、近いうちに入ると思います。

●健康診断について
教室の40人全ての子ども達の健康診断を始めました。健康診断では、以下のことが分かりました。

  (a)ほとんどの子ども達が、急性呼吸器感染症にかかっています。
  (b)13人の子ども達に寄生虫駆除が必要です。
  (c)3人の子ども達はビタミン不足で、ビタミン補給が必要です。
  子ども達には必要な薬とビタミン剤を与えました。
  子ども一人一人に対して、詳細な記録を取っています。
  これら子ども達について、引き続き健康診断の結果についてお知らせします。

  ※子ども達には、個人的な衛生指導−すなわち食前の手洗い、サンダルの着用、毎日入浴することなど−が行われています。指導は健康診断の時に、私たちの医師によって行わています。医療的処置が必要な子どもに対しては、ビタミン剤や抗生物質、咳止めシロップなどの薬を購入して与えています。3人の子ども達にはより注意深いケアが必要なため、経過を観察しています。

●MrSrinivas(元ハンセン病患者の絵のインストラクター候補の人物)については、残念ながら健康上の問題が生じたため、病院に入院して検査を受けています。その間、Diwali休暇の後から教室で教えてくれそうな絵の先生を、何人か探しています。
絵の指導は、2004年11月22日に再開する予定です。

 ・5歳未満の子ども達に対するカリキュラムは次の通りです。

(a)英語とヒンディ語の文字/(b)1から100までの数/(C)絵・簡単な絵画・5歳以上の子ども達は、1学年から5学年までの正規の学校に入学しており、そこでの正規の学校カリキュラムに従っています。子ども達の制服、本、練習帳、スケッチブック等は、BLPの協力の下で教室の子ども達に提供されています。


●遠くの地域からやってくる子ども達について、あなたが以前写真で照会した女の子(Sushila)は弟と一緒に定期的に来ています。Acworth病院から離れたところから来るこのような子ども達については、交通面でのケアを行っています。

●教室はちょうど1カ月経ちました。これからも教室の様子や子ども達の成長について全てお知らせします。
Diwali祭リ(光のお祭リ)の期間、祭りの精神に合わせて小さい子ども達におもちゃや衣服等を配ったことをお知らせできることを嬉しく思います
(上の、サムネイル写真参考)